スキルアップや資格取得に挑戦したいけれど、数十万円単位のスクール費用がネックになって二の足を踏んでいませんか。実は、その費用の全額を自分のお財布から出す必要はないかもしれません。条件を満たす社会人であれば、国から受講料の最大70パーセントが支給される教育訓練給付制度を利用できるからです。知らないと数万円から数十万円も損をしてしまう、このお得な制度の仕組みと活用法をわかりやすく解説します。
雇用保険加入者の権利、一般教育訓練と専門実践教育訓練の違いとは
教育訓練給付制度とは、働く人の能力開発を支援するために厚生労働省が設けている給付金制度です。財源は私たちが毎月の給与から天引きされている雇用保険料の一部ですので、現在働いている人、あるいは離職して1年以内人であれば、堂々と利用する権利があります。初めて利用する場合、雇用保険の加入期間が通算1年以上あれば対象となります。
この制度は大きく分けて3つの種類がありますが、社会人が特に注目すべきなのは一般教育訓練と専門実践教育訓練の2つです。もっとも利用しやすい一般教育訓練は、受講費用の20パーセント(上限10万円)が支給されます。一方、より専門性の高い専門実践教育訓練は、受講費用の50パーセントに加え、資格を取得して就職に結びつくなどの条件を満たすと追加で20パーセントが支給され、合計で最大70パーセント(年間上限40万円)もの還付が受けられます。選ぶ講座によって戻ってくる金額の桁が変わるため、自分の目指すスキルがどちらに該当するかを事前に把握しておくことが戦略的な資金計画の第一歩です。
プログラミングからMBAまで、対象講座は民間の人気スクールも多数
国の制度というと、ハローワークで実施している地味な職業訓練しか対象にならないというイメージを持つかもしれません。しかし実際は、多くの民間スクールや大学が提供している講座が対象として認定されています。例えば、給付率の高い専門実践教育訓練には、AIやデータサイエンスを学ぶプログラミングスクール、社会福祉士や看護師などの国家資格養成課程、さらにはビジネススクールのMBAコースなど、キャリアを大きく変えるポテンシャルを持つ講座が数多く含まれています。
また、手軽に利用できる一般教育訓練の対象講座も非常に豊富です。TOEICのスコアアップを目指す英会話スクール、税理士や社会保険労務士などの受験対策講座、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)などの実務系スキルまで、ビジネスパーソンの関心が高い分野が幅広くカバーされています。自分が通おうとしているスクールが対象かどうかは、厚生労働省の検索システムで簡単に調べることができます。高額だからと諦めていた憧れの講座も、この制度を使えば実質半額以下の負担で受講できる可能性があるのです。
申し込みは受講開始前に、ハローワークでの事前手続きを忘れずに
この制度を活用する上で、絶対に失敗してはいけないのが手続きのタイミングです。特に給付率の高い専門実践教育訓練を利用する場合は、原則として受講開始の1ヶ月前までにハローワークで手続きを済ませる必要があります。その際、訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブカードを作成して提出するというプロセスが求められます。少し手間に感じるかもしれませんが、プロのキャリアコンサルタントに自分の学習計画を相談できる貴重な機会でもあります。
一般教育訓練の場合は、受講修了後に申請するケースが一般的ですが、スクールによっては入学時に制度利用の意思表示が必要なこともあります。もし手続きを忘れたまま受講を始めてしまうと、後から申請しても給付金を受け取れないという最悪のケースも考えられます。まずは自分のお住まいの地域にあるハローワークへ問い合わせるか、受講したいスクールの窓口で制度利用について相談してみてください。その一本の電話が、あなたの学習環境を劇的に改善する鍵となります。
